大宮慎次朗、黒田陸離 小寺陽一郎、土居恭子
神奈川県大和市で小学1年の次男を窒息死させたとして母親が逮捕された事件で、県の児童相談所が過去に2回、次男を保護していたことがわかった。2回目に保護した際に施設入所措置の方針を決めたが、母親から同意を得られず、裁判所も児相の申し立てを却下。次男は自宅に戻った8カ月後に死亡した。
神奈川県が21日、記者会見で明らかにした。県警によると、20日に逮捕されたのは同県大和市西鶴間3丁目、自称看護助手の上田綾乃容疑者(42)。2019年8月6日、自宅で次男雄大さん(当時7)の鼻と口を何らかの方法でふさいで殺害した疑いがある。「何もしていないです」と容疑を否認しているという。
県によると、雄大さんが生まれた際、10年ほど前に上田容疑者の長男(当時5カ月)と長女(同1カ月)が相次いで死亡していたことを把握した児相は、大和市と連携して上田容疑者を支援していた。だが、12年10月に雄大さんが心肺停止で緊急搬送されたため翌11月に生後5カ月の雄大さんを一時保護。その後、施設入所の措置に切り替え15年3月まで保護していた。
17年4月には三男(同1歳5カ月)が自宅内で死亡したため、児相は再び雄大さんを一時保護。ただ、施設入所については母親が同意せず、家庭外での一時保護が続いた。18年10月に横浜家裁が児相の申し立てを却下し、翌11月に一時保護が解除された。
保護期間中、雄大さんは周囲に「母親に投げ飛ばされて口から血が出たことがある」と話したという。帰宅後も児相と大和市は自宅を訪れるなどして支援を継続。雄大さんが亡くなる4日前にも訪問していたが、「虐待の兆候はなかった」という。
県は第三者による検証委員会を立ち上げる方針。記者会見で県は「きょうだいが亡くなる中、安全に家庭生活できるか疑問を持っていた」と指摘。家裁の判断については「この家庭での養育が不適切だという書類をそろえられなかった。大変残念に思っている」と述べた。(大宮慎次朗、黒田陸離)
「突然苦しみ始めた」と119番通報
死亡した雄大さんの口などの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル